従来の資産運用は?
日本経済は、1990年代のバブル崩壊や銀行の経営破綻など、激動の時代を経験してきましたが、その間に投資家の資産運用に対する考え方は大きく変化し、投資環境もそれ以前とは大きく異なることとなりました。
1980年代までは、一般の個人投資家にとって資産運用をするといえば、銀行の定期預金か郵便貯金だけでした。この時代、これらにはそれなりの利回り※があり、お金を預けていればそれなりに利息収入があったからです。
それより何より、銀行預金であれ郵便貯金であれ、預けたお金が減ってしまう、すなわち「元本割れ」のリスクがないということも大きな理由としてあげられます。つまり、預けておけば、あとは着実に殖えていくという安心できる環境だったということです。
なので、元本割れのリスクのある株式や投資信託などは、一部の特別な人がやるという感覚だったのです。ましてや、外貨による運用などは、リスクが高いことはもちろんですが、制度も整っていなかったことから、一般の人が気軽にできる環境ではなかったのです。
※投資資本(元本)に対する収益の割合のことです。
銀行預金や郵便貯金では資産は殖えない
しかしながら、バブル経済が崩壊した後は、経済が長期にわたり低迷する時代に入っていきましたので、景気対策として金利は引き下げられ、ついには世界的にも稀な超低金利国となったのです。
こうして預金金利は1%を大きく下回る状況となり、銀行預金や郵便貯金のみの資産運用では、お金はほとんど殖えないという事態にました。また、1997年以降の金融危機においては、大手金融機関の破綻が相次ぎ、さらに2005年からはペイオフ※も解禁され、銀行も絶対に安心な預け先とはいえなくなったのです。
※金融機関が破綻したときに、預金者に保証するのは1,000万円とその利息のみとする制度のことです。
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