マネーの巨大化とは?
ブッシュ大統領はイラク戦争を起こし、円換算で十数兆円という莫大な戦費を毎年投じて景気を刺激したといわれています。それが奏功して景気回復が始まり、2003年以降には住宅バブルが顕著になりました。
また、イラク戦争は、中東の産油国が舞台になったことから、原油価格にも影響を与えました。
戦火が拡大すれば、世界各国への原油の供給も止まってしまうからです。2002年9月に、FRBは「地学的リスク」という言葉によって、金融市場への悪影響を表現しました。
金融当局者としては、バブルの発生は宿命であっても、バブル経済の軟着陸という出口戦略に失敗しますと大きな非難を浴びることになりますから、金融緩和策は強気に、金融引き締め策は弱気に行うことが多いわけです。
なので、グリーンスパン議長も2004年から2006年にかけて17回にわたって小刻みに金利を上げていったのです。
しかしながら、いっこうに金利引き締め効果が表れず、長期金利も上がらない、そればかりか、グローバル化が進むマーケットの中で、急成長していたBRICs諸国や産油国と先進諸国が貿易や投資を通じてマネーのやり取りをする過程で国際的な信用創造が行われ、世界中にばら撒かれたマネーがどこにも吸収されずに巨大化していったのです。
原油価格と金価格との関係は?
世界的な金融バブルの発生時に、原油価格は上昇し続け2〜3倍に値上がりしましたが、金価格は投資家が予想したほどには上昇しませんでした。
これは、金価格が原油価格ではなく、原油価格の上昇により作り出されるインフレに連動するからといわれています。
金価格が世界経済の器の大きさを見ている?
原油価格が上昇しても省エネ対策により原油の消費量を抑えることが可能であれば、インフレは生じにくいので、結果として金価格も上昇しないといえます。これは、金価格が世界経済の器の大きさを価格によって表現しているからにほかなりません。
2008年に金融バブルは弾け、世界は深刻な金融危機と未曾有の景気悪化に見舞われていますが、ベン・バーナンキFRB議長は、実質的なゼロ金利政策と量的緩和政策を導入して、またその一方で、バラク・オバマ大統領は「グリーン・ニューディール政策」という環境バブルを起こすことにより危機脱出を図ろうとしているようです。
よって、金価格は、その前途を見守っているといえます。 |