ドルと金はどのような関係にあるのですか?
1971年のニクソン・ショック以前は、ドルの信用の裏付けとして金が用いられていました。しかしながら、ドルと金の兌換停止を発表したニクソン・ショックによってその関係は絶たれます。
ドルは米国の信用を裏付けとしたペーパーマネーになり、一方金はマネーから商品(コモディティ)になったのです。
こうしてドルと金の両者が切り離されたことから、米国の状況が悪化したときにはドルの信用が低下して売られ、金が買われる、反対に、ドルの信用が高まれば金が売られるという、逆相関の関係ができあがりました。
金のドル離れとはどういうことですか?
といっても、ここまでの金とドルは連動していたことに変わりはありません。しかしながら、世界最強といわれていた米金融業が破綻したことで、2009年に入ってからは金のドル離れが起こります。
つまり、2008年まではFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を多くの投資家が信用していましたが、2009年からはちょっと待てよという感じで、首をかしげることが多くなったのです。具体的には、次のようなものです。
■金融危機は予想以上に根が深いのではないか?
■本当に中央銀行が支え切れるのだろうか?
■金融機関が公表している不良資産をはるかに上回る簿外の損失が生じているのではないか?...など
量的緩和策をとってもドル高になるのはなぜですか?
FRBは、量的緩和策により通貨の発行量を増やしていますが、これは、通貨に対する信認が薄れるという副作用が伴います。
それでもドル高が維持できているのは、為替相場の参加者が弱いドルと弱いユーロを比べたときに、まだ弱いドルのほうがマシだと考えているからです。
ドルと金の相関関係が元に戻るのは、オバマ政権が金融危機を終息させ、株式市場や為替相場が合格点を付けた時になるのかもしれません。
なお、前述したように、金のドル離れは当面は続くと思われますが、通貨では資産は守れないと判断した投資家は、実物資産である金に目を向け始めています。
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